糖質制限とケトジェネシス

第26回 糖質制限で血圧が下がる!

2008年4月から40歳から74歳の方を対象に行われている特定健診(別名メタボ健診)については皆さんご存知だと思いますが、簡単におさらいしておきましょう。

メタボリック症候群・予備軍と診断される数値

腹囲が男性で85cm、女性で90cm以上あり血糖値が空腹時で110mg/dl以上、収縮期血圧130mmHg以上または/かつ拡張期血圧85mmHg以上、中性脂肪150mg/dl以上または/かつHDLコレステロール40mg/dl未満の3つのうち2つ以上を満たせばメタボリック症候群、1つの場合は予備軍と診断されます。

この健診の目的は糖尿病、高血圧症、脂質異常症を早期に発見し、内臓脂肪蓄積をもたらした悪しき生活習慣を是正(糖質制限をすること)し、脳卒中や心筋梗塞の発症を防ぐことです。腹囲85cmを基準にしたのはちょうど臍部でCTスキャンを撮った時の内臓脂肪面積が100cm2に相当するからです。

すなわち、この面積を超えると、糖尿病、高血圧症、脂質異常症の発症と合併頻度が高まります。

過剰な内臓脂肪蓄積が高血圧症を引き起こす理由

では、どうして過剰な内臓脂肪蓄積が高血圧症を引き起こすのでしょうか?

私たちが食事を摂り満腹になると、レプチンというホルモンが内臓脂肪から出て脳の満腹中枢を刺激し食べるのをやめさせます。しかし、更に過食が続き内臓脂肪が蓄積するとレプチンが出ても満腹中枢は反応しなくなり(レプチン抵抗性)、過剰になったレプチンは交感神経を刺激します。

また、糖質過剰摂取によるインスリンの過剰分泌はレプチンと同様交感神経を刺激します。交感神経が刺激されるということは、ばったり道端でクマに出会うようなもので、血圧は上昇し脈拍は速くなり、発汗も起こります。

大量に分泌されたインスリンは腎臓の糸球体に働きかけ、水分と塩分の再吸収を促し、循環血液量が増加し血圧上昇をもたらします。

内臓脂肪を減らすには糖質制限が有効

 

かつて、内臓脂肪組織は単なるエネルギー貯蔵庫と考えられていましたが、大阪大学の松澤先生たちの研究により、実は内臓脂肪組織からはアジポサイトカインと呼ばれる様々なホルモンが分泌されており、人体最大の内分泌器官だということがわかりました。

過剰な内臓脂肪蓄積によりアンジオテンシノーゲンといった昇圧物質や凝固系を亢進させるPAI-1、耐糖能(糖を処理する能力)を悪化させるTNF-αなどが分泌されます。

しかし、糖質制限により過剰なインスリン分泌は抑制され、レプチン抵抗性は解除され、交感神経の刺激が緩和され、水分、塩分の貯留もなくなり、内臓脂肪組織からのアンジオテンシノーゲンの分泌がなくなり血圧は低下するのです。

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