経済

第75回 うどん代 イギリスでは2倍

うどん代 イギリスでは2倍

「うどん代 英では2倍」と言う記事が、ある日の読売新聞の朝刊に載っておりました。

イギリスのロンドンの金融街シテイーに、日本の丸亀製麺が店を出していて、かけうどん(4,45ポンド690円)や釜揚げうどん(3.45ポンド)の値段が日本の2倍だと言うのです。

一般の英国人は昼食をとると、10ポンド(1550円)は下らないとのことで、英国人にとって、丸亀製麺のうどんは「お値打ち」に映るそうです。

昨年のテレビ東京のWBSでも、ハワイでの日本のくら寿司の値段が日本の2倍であり、そこで働く従業員の時給も日本の時給に比べかなり高いことが報道されました。

日本のモノやサービスの値段は、他の先進国から見ると格安で、消費者にとっては、望ましいことのように見えます。

しかし、物価は「経済の体温」を示すとされ、日本はもう25年、低体温のままでおります。

記事では、日本の現状を、消費者は賃金が増えず、低価格志向がが強い。企業はなかなか値上げに踏み切れないと述べておりますが、まさに、日本の経済がデフレ状態、低体温状態を示す現象です。

経済協力開発機構(OECD)によると、昨年の日本の平均賃金は3.9万ドル(440万円)で、30年前からの伸び率はわずか4%。この間、アメリカは49%、イギリスは44%増えました。

日本は、バブルが弾けた後、経済成長が滞り、本来であれば、政府の財政政策によって経済を下支えしなければならない状況だったのに、全く真逆のことを行いました。

すなわち、1997年の橋下政権による3→5%への消費税増税、財政支出の抑制、構造改革です。

日本では、1998年から現在に至るまで、継続的な緊縮財政と2回にわたる消費税の増税により、他の先進諸国では類をみない長期デフレに陥っています。

更には、2020年からのコロナの蔓延で、経済は更に低迷し、日本国民はどん底につき落とされました。

デフレとは

デフレとは、一定期間にわたって、物価が持続的に下落する現象のことを言います。

デフレは、経済全体の需要(消費と投資)が、供給に比べて少なくなる状態です。需要不足/供給過剰がデフレを引き起こします。この状態ではモノが売れなくなりますから、企業は赤字が続き、最悪の場合は倒産します。労働者は賃金が下がり、最悪の場合は失業します。労働者は賃金が下がると消費しなくなり、需要が減少し、企業は利益を見込めないので新たな投資には前向きになれません。このように負のスパイラルによって、消費と投資はどんどんと縮小していきます。今日本で起こっているのは、まさにこの状況です。

思慮の足りない経済学者や財務省の役人は、貯蓄性向の高い国民に給付金を配っても経済効果が小さいので意味がないと言っておりますが、この苦しいデフレの状況が貯蓄性向を招いていることを全く理解していない暴言です。将来不安のために貯蓄をすることに何の問題があるのでしょうか。

記事では、企業が新たなビジネスにお金を投じ、儲けを従業員に還元して消費を促し、経済を成長させてきた仕組みがうまくいかないと嘆きます。そして、賃金を引き上げなければ、日本経済の体温は高まらないと記事を終えております。賃金を上げないのは企業のせいだと言わんばかりです。

記事では、デフレ下での家計や企業の実態や行動とともに、もう一つの経済主体である政府の役割について考察し言及すべきでした。

デフレ下で、家計や企業が消費や投資を控え、貯蓄するようになるのは、経済合理的な行動です。しかし、その行動は、日本経済全体にとっては縮小の方向に働きます。これを「合成の誤謬」と言うそうです。

こういう時こそ政府による需要創出が必要です。大胆な政府の財政支出によって、家計や企業の需要を喚起し、ひいては日本経済を成長軌道に戻せば、日本での丸亀製麺のうどんの価格もロンドン並みになるでしょう。

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