経済

第81回 財務省のスポークスマン 日本経済新聞

2月7日の日本経済新聞に、大林尚氏の「消費税、参院選で信を問え」という論説記事が載っておりました。

記事を紹介し反論してゆきます。

政治指導者には時に「聞き入れない力」が必要だ。

違反者に罰金を科す厳しいロックダウン(都市封鎖)のさなか、ロンドン・ダウニング街(英首相官邸)の中庭や執務室で開いた飲み会に、自らも加わっていたジョンソン首相の支持率が急落した。

自分がつくったルールを率先して破ったのだから当然である。長らく我慢を強いられていた英国民の堪忍袋の緒は切れ、ついにロンドン警視庁が捜査を始めた。野党労働党が首相の座を即座に降りるよう求めたのは当然として、身内の保守党からもジョンソン辞めろの声が聞こえる。

ここは国民受けする迎合策を繰り出し失地回復したいところだ。ところが、である。日曜紙「サンデー・タイムズ」1月30日付への寄稿で、ジョンソン氏は4月からの増税は予定どおりと表明した。自らが辞めた場合、後継候補の最右翼に擬せられているスナク財務相との連名でいわく「カネのなる木はない」。コロナ禍で滞った同国の医療体制を修復するために、増税不可欠の立場を鮮明にした。

針のむしろに座らされているなかでの増税宣言である。周りが何と言おうと聞き入れない力を備えているようだ。

日本はどうか。昨年9月の自民党総裁選に名乗りを上げた4人のうち、年金改革に関連づけて消費税増税をにおわせたのは河野太郎氏1人だった。政策ブレーンによると、河野氏が増税を考えているのがわかった途端、党内の仲間がサーッと離れていった。序盤優勢だった同氏が中盤で失速したのと符合する。

敗因は消費税だけではなかろうが、自民党の衆参議員の多数派が消費税嫌いという事実ははっきりした。ほかの3候補が増税を否定したこともそれを裏づける。納税者は同じ考えだろうか。

河野氏は長期にわたって年々小刻みに年金の実質価値を下げてゆくマクロ経済スライドによって、基礎年金の最低保障機能が果たせなくなると訴え、補強のために消費税財源を充てる改革を主張した。増税が年金の充実をもたらすという帰結がみえれば納税者もむげには反対しまい。一方で、政治家が帰結を説明し理解してもらう難しさは残る。

総裁選中は「消費税増税に賛成か反対か」を4候補に○×形式で答えさせたりするテレビ番組がたびたび流れる。これだけをみた人が、○を出した候補には首相になってほしくないと思うのは致し方なかろう。日本記者クラブ主催の討論会で、岸田文雄氏が今後10年程度は消費税増税が不要と明言したのも、この文脈でとらえればわかりやすい。消費税問題はメディアのあり方も問うている。

岸田氏は外相時代の2017年夏、香川県にある大平正芳の墓に詣でた。間をおかず党政調会長になり「消費税率引き上げを可能にする経済環境をつくる」と語っている。

大平は宏池会の先達だ。第1次石油危機後、1975年度の補正予算編成で蔵相として赤字国債の発行に追い込まれた。当時の大蔵省官房長は長岡實氏。同氏は生前「赤字国債に頼らずにすむ強い財務体質を取り戻したいと大臣は繰り返していた」と筆者に話した。79年の総選挙で大平首相は一般消費税の導入を公約し敗北した。墓前で岸田氏が胸に刻んだものは何か。

岸田氏が増税不要期間を10年と区切ったのは、安倍晋三氏、菅義偉氏という2人の首相経験者の言を踏襲したものだ。これは意味深かもしれない。5%の消費税率を8%に上げたのは14年だ。この増税の起点は与党が強行採決して成立させた04年の年金改革法だった。100年安心の名の下に基礎年金の国庫負担引き上げを法定した。

それまで財務省は年金への一般財源の投入拡大に慎重だったが、04年改革を機に方針を転換した。国庫負担引き上げは消費税増税あってこそだと与党幹部らに働きかけ、歳出・歳入一体改革と名づけた増税構想を緒に就かせた。民主党政権はこれを社会保障・税一体改革と呼び変えたが、中身は不変だった。

標準税率を2段階で10%にもってゆく一体改革法が成立したのは野田政権のときだ。野党だった自公両党は採決に賛成した。構想から増税実現までまる10年。岸田首相が官邸に設けた全世代型社会保障構築会議が夏にかけて方向性を示す。それはポスト一体改革の号砲たり得るのか。

政治家は消費税が嫌いだ。増税分は巨額の政府債務返済にも充てねばならず、年金や医療・介護、教育サービスなど納税者の受益に直結しにくい宿命を知っているからだろう。それもあって現役世代から健康保険料の一部を召し上げ、高齢者医療費に回す「ステルス増税」は続行中だ。

私たちは70兆円を超すコロナ対策費にも借金つぎ込んだ。病院補助金の制度設計が粗雑だったために、病床を無駄に空けておく幽霊病床の存在が明らかになった。しかし使い方が賢明だったかどうかにかかわらず、その分もいずれ増税が必要になる。

財政規律を重くみる英首相のように、医療充実のための増税と、大手をふれないのだ。ただしカネのなる木はないという真実は万国共通である。賢明な歳出を徹底させるかたわらで増税構想への着手は早いに越したことはない。

インフレの足音が迫ってきた。金利上昇は政府の利払い負担を重くし、社会保障に回す歳出をさらに圧迫する。夏には参院選がある。聞き入れない力が試される。

反論

「カネのなる木はない」

相変わらず、財務省のスポークスマンとして、緊縮財政を喧伝する日本経済新聞は、

主権を有する政府が、自らの通貨について支払い不能になることはあり得ない。

という事実を認識していないようです。

また、通貨は信用創造によって生み出される。どこかから持ってきて工面されるものではない

これが理解されてないことが、誤解を生む最大の原因です。

通貨を生み出す方法は2つあって、1つは政府が国債を発行し、銀行が国債を買うことによって、政府の日銀当座預金を増やし、それを元に財政支出する場合と、もう1つは、家計や企業の資金需要により、銀行が銀行預金を創造する場合です。

日本政府が仮にデフレ対策として公共事業をやることにします。

政府と銀行は日本銀行に当座預金を持っており、銀行の当座預金は日銀が提供することが前提になります。

政府が公共事業をやるために国債を発行します。

銀行が国債を買い入れると銀行保有の日銀当座預金は、政府の日銀当座預金に振り返られます。

政府は公共事業の発注にあたり、企業に政府小切手で支払います。

企業は取引銀行に小切手を持ち込み、代金の取り立てを依頼します。

銀行は小切手相当額を企業の口座に記帳します。この時預金が創造されます。すなわち、民間にお金が渡るということです(あるいは民間の貯蓄が増えるということです)。同時に、日銀に代金の取り立てを依頼します。

政府保有の日銀当座預金が銀行の日銀当座預金勘定に振り返られます。

このサイクルを繰り返しても銀行の当座預金残高は変わらず、金利は変動しません。

このように、政府は、打ち出の小槌を振り続けることができるのです。

言い方を変えれば、過度なインフレにならない限りは「カネのなる木はある」のです。

また、政府の赤字国債の発行で、同額の民間所得が増えるのであり、今まで財務省が流布してきた国債発行により民間貯蓄が減るという話は全く嘘だとわかります。政府が国債を発行し公共事業のためのお金を生み出すのは信用創造によるものです。

 

自民党の衆参議員の多数派が消費税嫌い

自民党の衆参議員の多数派が消費税嫌いと一括りにするのはおかしな話で、自民党の議員の中には、消費税の増税は必要ない、それどころか撤廃すべきだと主張する方もいれば、日本のデフレにさらに追い討ちをかけたコロナ禍での消費税増税はすべきでないと主張する方もおられます。

 

河野氏は長期にわたって年々小刻みに年金の実質価値を下げてゆくマクロ経済スライドによって、基礎年金の最低保障機能が果たせなくなると訴え、補強のために消費税財源を充てる改革を主張

マクロ経済スライドは必要なく、補強のために消費税財源を充てる必要もなく、不足分は国債発行により補填すれば済む話で、年金受給者の消費活動はそれによって維持され、安定した税収は確保され、むしろそれによって国債発行は抑えられるのです。

 

「消費税率引き上げを可能にする経済環境をつくる」

日本は、25年デフレ状態です。最近は、オミクロン株の蔓延で、消費が更に低迷し、景気に関わる指数が軒並み低下しております。

岸田政権が仮に積極財政に転じ、税収が多少増えたとしても、安倍政権の時のように消費税を増税してはいけません。

景気が良くなれば、政策的に新たな増税を考えなくても、累進性のある所得税は増え、景気の加熱を抑えることができます。

景気が加熱したら先ず、政策金利を上げ、財政支出を抑え、そして増税を考えるべきです。

私は、消費税は廃止し、消費税導入と引き換えに減税された法人税はもとに戻すべき(増やすべき)と考えます。

 

赤字国債に頼らずにすむ強い財務体質を取り戻したい

誰かの資産は誰かの負債です。

経済主体を政府と民間で捉えた場合、政府の赤字は民間の黒字です。

本来、政府が赤字であることが健全であるということです。

プライマリーバランスの黒字化とは民間の赤字化を意味しますので、その分、民間の金融資産は減ります。我々国民の資産が政府に奪い取られることになります。

 

04年の年金改革法 国庫負担引き上げは消費税増税あってこそ

年金への一般財源の投入拡大に消費税の増税を当てる必要はありません。国債で賄えば良いだけです。

 

増税分は巨額の政府債務返済にも充てねばならず

日本は、他の先進国も行っているように、国債の償還期限がきたら、新規の国債で、同額の償還を行う「借り換え」を続けています。

債務残高の中には、日銀が保有する国債も含まれ、重要なのは「純」債務残高、つまり民間投資家に対して負っている債務であり、2013年に黒田東彦氏が日銀総裁に就任して以来、実際には縮小しております。

日銀は国債の約半分、GDPの94%に相当する額を購入し、2012年から18%増加しました。一方で、個人投資家などを中心とする日銀以外の者が保有する日本国債は、2012年にはGDPの145%でしたが、現在は103%にまで低下しています。

国債危機の真の引き金となるのは、債務残高そのものではなく、政府が利子を払えなくなったときに起きるのです。日本にはそのような問題はありません。

日銀がマイナス金利政策を実施したため、2021年の利払いはGDPのわずか0.4%にまで減少しました。

個人投資家への負債額と利払い額の両方が今よりはるかに大きかったときには(バブル期10年長期国債金利6%)財務省は、「財政破綻の危機」にあるなどとは言いませんでした。

結局、債務残高が増えても日銀が国債を買えば済むことであり、日銀が新規国債発行額以上の国債を買い続ければ、個人投資家などを中心とする日銀以外の者が保有する日本国債は減少してゆく事になります。

従って、デフレの日本に増税は必要ありませんし、ましてや増税して債務返済に回すなど、全くナンセンスな話です。

 

私たちは70兆円を超すコロナ対策費にも借金をつぎ込んだ

政府が国債発行により、コロナ対策費として困窮した国民のために通貨を供給しただけで借金ではありません。

通貨を発行できる政府は、誰からも借金をすることはありません。もちろん国民からもです。

 

カネのなる木はないという真実は万国共通

日本、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど自国通貨を発行できる政府は、原理的にはいくらでも国債を発行して、財政支出ができます。

カネのなる木はあるのです。

ただし、通貨の供給に対しての制約、すなわち、需要に対して供給が追いつかなければインフレになり、過度なインフレ、これが制約となります。

日本はコロナ対策として70兆円の国債発行をしましたが、いまだにデフレ状態です。

ということは、まだまだ政府は必要な政策に国債を発行して通貨を供給できるということです。

 

賢明な歳出を徹底させるかたわらで増税構想への着手

賢明な歳出を徹底させることは重要です。無駄に政府は支出すべきではありません。

しかし、政府が行わなければならない喫緊の課題は山ほどあり、充分な財政出動によって迅速に対処すべきです。

税は財源ではなく、景気を調整するもので、インフレが加熱したら初めて増税を考慮すべきです。

必要な政策を行うのに財源など必要なく、政府が政策を実行する意思を示し、国債を発行し支出すれば良いのです。

 

インフレの足音が迫ってきた。金利上昇は政府の利払い負担を重くし、社会保障に回す歳出をさらに圧迫

日本のインフレは基本的に、コストプッシュインフレであり、アメリカやヨーロッパは、デイマンドプルインフレに、日本が今被っているのと同じように原油高や半導体の供給不足や物流の停滞によるコストプッシュインフレが加わったものです。デイマンドプルインフレに対し、中央銀行が金利を上げることは、政策として正しい。日本の経済の基調はあくまでもデフレであり、間違っても政策金利を上げるべきではありません。

財務省や日本経済新聞は、金利上昇は政府の利払い負担を重くし、社会保障に回す歳出をさらに圧迫するなどと言いますが、国債金利は、日銀が国債を買うことによって下がります。

債務残高が増えても、金利上昇は見られず、むしろどんどん低下し、今や国債金利は0%です。

また、社会保障費の歳出の増加は、国債で賄えば良いのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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