経済

第82回 日本経済新聞による財政破綻プロパガンダ

相変わらず財政破綻を煽りたい日本経済新聞は2月19日付で、以下の記事を載せましたので見ていきましょう。

今回は、ある程度区切りながら反論していきます。

政治が財政破綻を語るべき理由
大機小機

永田町でMMT(現代貨幣理論)が流行している。国債をいくら出しても大丈夫だ、と与党の政治家が公然と議論している。

政治家が「財政破綻はあるはずないからいくら金を使っても大丈夫だ」という姿には「北朝鮮が攻めてくるはずはないから自衛隊は遊んでていい」という主張と同じくらい違和感を持つ。国民が「財政破綻はない」と安心して信じることを政治の目標にするのには賛成だが、それは政治家自らが「財政破綻は起きない」と信じ込むこととは違う。危機に備える心構えを政治家が示して初めて国民は危機が起きないと信じられる。

もう一度、MMTの主張を確認しましょう。

自国通貨を持つ政府は、財政的な予算制約に直面することはない。主権を有する政府が、自らの通貨について支払い不能になることはあり得ない。

この事実は、MMTを主張する論者だけではなく、財務省をはじめとした緊縮財政を主張する論者も認めていることです。

財務省は2002年5月、ムーデイーズなどの民間会社が日本の国債の格付けを下げると激怒したのか、反対意見書を送っております。そこには、日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルト(債務不履行、財政破綻と同義)は考えられないと書かれております(財務省のホームページに載っております)。日本の国債の大部分は自国通貨の円で支えられており、かつ、変動相場制で、当時の財務省の主張の通り、債務残高が積み重なっても財政破綻は100%ありえません。

日本経済新聞の記者が、この事実を本当に知らないで、自分の思い込みでこの記事を書いているとすれば、大変由々しき事態です。

新聞やテレビなどのメデイアは、意図をもって、特定の主義や思想に大衆を誘導する絶大な力を持っています。すなわち、そのプロパガンダにより国家においての思想統制や政治活動に多大な影響を与えます。

 

MMTは、同時に、通貨を発行する政府は、債務不履行にはならないが、財政赤字はインフレを招くおそれがある。従って、財政の限界は、対GTP比債務残高ではなく、インフレ率で判断すべきである、とも述べています。

緊縮財政派は、まさに、この部分を都合よくカットしストローマンをやって退けます。

注)ストローマンとは

相手の意見の一部を誤解してみせたり、正しく引用することなく歪める、または一部のみを取り上げて誇大に解釈すれば、その意見に反論することは容易になる。この場合、第三者からみれば一見すると反論が妥当であるように思われるため、人々を説得する際に有効なテクニックとして用いられることがある。これは論法としては論点のすり替えにあたり、無意識でおこなっていれば論証上の誤り(非形式的誤謬)となるが、意図的におこなっていればそれは詭弁である。

 

「財政破綻はあるはずないからいくら金を使っても大丈夫だ」という姿は、「北朝鮮が攻めてくるはずはないから自衛隊は遊んでていい」という主張と同じくらい違和感を持つと記者は述べておりますが、私にすれば北朝鮮や中国が攻めてくる可能性は充分あるから(と言うより、もう既に攻められている。北朝鮮はミサイルを日本に何発も打ち込み、中国の海警船は尖閣諸島に常在している。)財政破綻などといった間違った神話を早々に捨て、日本を守るために必要な予算を増額し防衛力を高めるべきと考えます。

危機に備える心構えを政治家が示して初めて国民は危機が起きないと信じられると、記事を書いた記者にそっくりお返ししましょう。

 

新型コロナウイルス対策や経済成長のためにいま必要な財政支出まで止めてはならず、すぐに財政を引き締めるべきではない。しかし世代を超えた時間軸では財政の持続性の確保は必要だ。債務が際限なく大きくなれば、いずれは通貨への信認が失われる可能性がある。

現に第1次世界大戦後のドイツ、オーストリア、ハンガリーなどや、1980年代の中南米諸国では戦争や対外債務をきっかけに通貨の信認が失われハイパーインフレになった。23年のドイツでは物価は平時の1兆倍に急上昇した。戦争で物資の供給不足が起きたからという理由では説明がつかない。供給体制が破壊されたとしても物資の供給が1兆分の1になったはずはないからである。ドイツのハイパーインフレは明らかに通貨に対する国民の信認が失われたことで起きた。

同じような信認喪失は今すぐに日本では起きないかもしれないが、子供や孫の世代まで債務膨張を放置すれば起こらないとは限らない。

よく財政破綻論者は、債務残高の増加により破綻したギリシャや通貨の信認が失われたことによるとされる第一次世界大戦後のドイツのハイパーインフレを引き合いに出します。

ギリシャがデフォルトしたのは、ギリシャはEU加盟国で、通貨発行権は欧州中央銀行にあり、自国通貨建て国債ではなかったということです。また、自国通貨と交換レートが固定された外貨債務でもデフォルトは起きます。2000年代のアルゼンチン、1980年代のメキシコ、1990年代のタイがそうです。

また、ハイパーインフレになった第一次世界大戦後のドイツは、財政出動のし過ぎによるのではなく、戦争で供給網が破壊されて、さらにフランスなどにルール炭田を占領されたことで供給不足になり起こりました。

戦後の日本のように健全な民主主義を歩んできた国家でハイパーインフレになった事例はありません。

 

財政破綻論者は、債務残高の増加で、国家や通貨の信認の喪失により国家は破綻すると言います。

では、国家の信認の喪失とは、どういうことでしょう?

京都大学の青木泰樹先生によれば、国家の信認が亡くなることをデフォルトと言うそうです。国家の信認とは国家の信用+通貨への信頼とのことです。

国家の信用は長期金利に反映されます。信用のある国の国債の長期金利は当然低くなります。以下をご覧になってお分かりの通り日本政府の債務残高は増加しておりますが国債の長期金利はどんどん下がっており、金利は0%です。日銀による大規模な金融緩和により、本来の目的である消費者物価指数プラス2%は達成できませんでしたが、日銀の国債買い入れにより国債金利は容易にコントールできることを日本は証明しました。

通貨への信頼はどうでしょう。通貨への信頼はインフレ率に反映されます。すなわち、通貨の信頼が亡くなると貨幣価値は下落することになります。インフレになり日本円は紙切れ同然になるということです。日本は長期デフレであり、円/ドル為替レートも1ドル115円程度で推移しております。信頼されなくなれば1ドル当たりの交換レートが何十万、何百万あるいはそれ以上になるはずです。

従って、日本政府の債務残高が対GDP比、240%になろうが300%になろうが全く問題ないのです。

 

財政破綻への備えは大地震や戦争への備えと同じく危機管理である。国民や企業が「財政破綻など起きない」と思えるようになるには「政府は十分に慎重な財政運営により財政の持続性を確保している」と信じてもらうことが必要だ。

さらに「財政破綻という非現実的な危機に対してもきちんと備えができている」と政治家は国民に示さなければならない。ただ「財政破綻は起きるはずがない」と言うだけでは、政治家が国民を子ども扱いしていると証明するだけで、危機を防ぐ意志と能力があると示したことにはならないのである。

(風都)

記者は、財政破綻への備えは大地震や戦争への備えと同じく危機管理と言います。

南海トラフ地震は向こう30年で70%の確率で起こるとされ、また首都直下地震も必ず起こります。

また、ロシアがウクライナに侵攻し、台湾や尖閣有事も現実味を帯びて来ています。

政府は、これらの危機に対し、十分な財政支出を行い備えなければなりません。

このままでは、100歩譲って、日本に財政破綻があると仮定したとしても、日本は財政破綻する前に、取り返しのつかないことになります。

「財政破綻は起きるはずがない」のですから、政府は必要な財政支出によって、危機を防ぐ意志と能力を示すことができます。

 

 

 

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