今回のブログのタイトルは、元衆議院議員の安藤裕氏があげているyoutube動画「安藤裕チャンネル」で、いつも最後に唱える歌(フレーズ)からお借りしました。
第81回、82回のブログで、財政破綻を煽る財務省に加担する日本経済新聞の記事を取り上げましたが、今回はそれ以上に影響力のあるNHKの報道を取り上げます。
国の債務超過 過去最大の655兆円余 補正予算財源の国債発行で
今年1月26日「国の債務超過 過去最大の655兆円余 補正予算財源の国債発行で」との報道がNHKでありました。
詳細は以下の通りです。
財務省は、国の財政を分かりやすく示すため、一般会計と特別会計を合わせた財務状況を民間企業の決算様式にならって公表しています。
25日公表された昨年度末の財務状況によりますと、道路などのインフラや有価証券といった「資産」が前の年度より39兆5000億円増えて720兆8000億円。
一方の「負債」は102兆9000億円増えて1376兆円でした。
この結果、負債が資産を上回る債務超過の額は63兆4000億円増えて、655兆2000億円となり、公表を始めた平成15年度以降、最大となりました。
報道をそのまま受け止め、企業や家計の感覚で捉えれば、債務超過がこんなに膨らんで、一見大変なように思います、というか思わされます。また、表現の中に国の債務超過との表現がありますが、厳密には政府の債務超過と言うべきです。
では、本当に大変なことなのでしょうか?
国内民間部門の収支+国内政府部門の収支+海外部門の収支=0
あらゆる支出は、誰かの所得として受け取られます。経済全体で見ると、支出の総計は、所得の総計に等しくなります。
国民経済全体は、国内民間部門、国内政府部門、海外部門から成り立っており、ある部門における収支の赤字は、他の部門における黒字によって相殺されます。
従って、国内民間部門の収支+国内政府部門の収支+海外部門の収支=0という恒等式が成立することになります。
PBの黒字化は必要か
緊縮財政派はPB(プライマリーバランス)の黒字化を声高に叫びます。そうしないと日本は破綻すると。
政府が赤字であることが、さも不健全なことだと。
でも、考えてみてください。政府が先に支出(通貨発行)し、国民に税を課します。
もし、政府が支出した分、全部国民から税として徴収すると、国民には経済活動をするための資産が一切残りません。
ということは、国民が経済活動をするためには、国民に対し政府が赤字でなければなりません。政府と国民の収支を足すと必ず0になるからです(話を簡略化するため海外収支部門は考えず)。
PB(プライマリーバランス)の黒字化ということは、政府が国民から資産を奪い取ることになるのです。
デフレ下の日本で消費税を2回も上げ、緊縮財政を行ってきた安倍政権は国民から多くの資産を吸い上げたことになります。
1975年以降、1回だけPB(プライマリーバランス)の黒字化を達成したことがありました。
(1975年までの高度成長期は企業の投資意欲が旺盛で、民間収支の赤字により政府の収支は黒字でした。この場合、民間収支は赤字でしたが、厳密には、民間収支を企業と家計に分けた場合、企業は赤字でしたが家計は黒字でした。)
以下の図を見てください。
80年代の後半に、日本の赤字は減少し、90年には黒字に転じました。同じ時期、民間部門の収支は政府部門とは対照的に、90年に赤字に転じています。この時期はバブル景気で民間部門に債務が積み上がったことを示しています。すなわち、政府部門の黒字は民間部門の債務の増加の裏返しだったということです。
PB(プライマリーバランス)の黒字化までとはいきませんが、2000年台前半に、政府部門の収支のバランスが改善しています。当時、アメリカが住宅バブルによる好景気で需要が拡大し、日本の輸出が増大したことによるアメリカの貿易収支の赤字によるものです。すなわち、政府部門の収支のバランスが改善したのは、海外の国が、この場合はアメリカですが、そのアメリカの貿易収支が悪化したことによってなされました。
国内民間部門の収支+国内政府部門の収支+海外部門の収支=0という恒等式が成り立つわけですから、政府の収支部門が黒字化するということは、民間部門の収支の赤字あるいは/かつ海外部門の収支の赤字を意味します。海外部門の収支の赤字は自国の利益を優先し、他国の市場と雇用を奪うことになり恨みを買うことになります(近隣窮乏化政策)。
どうしても、政府が黒字化したいと言うのであれば、バブル経済を再び起こし、民間の債務を大幅に増やすか、相手国のことなど考えず、輸出をどんどん拡大し、近隣窮乏化政策を行えば良いのです。
でも、こんな政策正しいと思いますか?
国の債務超過 過去最大の655兆円余の検証
以上のことを踏まえ下図をご覧になってください。
2020年第二四半期から、2021年第3四半期までの日本の資金の過不足の推移を示しています。
2021年の第一四半期、第三四半期以外、政府の赤字(負債)が増えるに従い、経済主体の反対側にある家計は、黒字(資産)が増えていることがわかります。
政府の債務超過の裏側に家計の資産の増加があることがわかります。
繰り返しになりますが、あらゆる支出は、誰かの所得として受け取られます。経済全体で見ると、支出の総計は、所得の総計に等しくなります。
そして、政府が赤字であることが、むしろ健全であることが理解できます。
政府の赤字は、みんな(国民)の黒字!政府の黒字は、みんな(国民)の赤字!
コメント