糖質制限とケトジェネシス

第29回 糖質の摂り過ぎが糖尿病を増やした!

「昔より日本人は、魚類、野菜、米食中心の食事をしてきましたが、近年、 1.食の欧米化で動物性脂質をより多く摂取するようになりました。毎日2.カロリーの多い食べ物を摂取し肥満になってしまうとインスリン抵抗性が増加し、インスリンの分泌が多くなるため膵臓が疲弊してしまい、ついにはインスリンを分泌する力も低下し、血糖値を下げきれずに糖尿病を発症することになります。このような理由で、インスリン分泌能の弱い東アジア人は2.過食、肥満により糖尿病を発症しやすいと考えられています。もう一つの理由としては、現代人の運動不足が挙げられます。車などの交通機関が発達し生活が便利になった反面、活動量、運動量が減ってきました。3.運動量が減ると消費するカロリーが減り、摂取するカロリーの方が多くなる結果、脂肪の蓄積で体重が増加し、肥満につながります。実際、4.脂肪摂取が多くなるほど、また車を所有するほど糖尿病が増加する相関関係も認められています。」

これは、糖尿病専門医と称するある先生のホームページの一部をコピ・ぺしたものです。

これが今の日本糖尿病学会の立場(考え方)です。

検証してみましょう。

1.2. 魚類、野菜、米食中心の日本食が脂質の多い(カロリーが多い)肉食中心の西洋食に変わったことが肥満を起こし、糖尿病が増加したと論じております。

近年の日本人の炭水化物摂取量は減少し、脂質摂取量は増加している

国立健康・栄養研究所の栄養素等摂取量によれば、日本人の炭水化物1日平均摂取量は、2008年(264.6g)→2010年(257.6g)→2012年(259.8g)→2014年(256.8g)→2016年(252.8g)→2018年(251.2g)と2012年を除いて減少を続けており、逆に、脂質1日平均摂取量は、2008年(52.1g)→2010年(53.7g)→2012年(55.0g)→2014年(55.0g)→2016年(57.2g)→2018年(60.4g)と増加を続けております。

糖尿病患者と予備軍は減少傾向

糖尿病患者の増加率は、2002年(平成14年)(740万)から2007年(平成19年)(890万)までの5年間で20%(150万人)だったのが、2007年(平成19年)(890万)から2012年(平成24年)(950万)の5年間は6.7%(60万人)と大幅に低下しており、2012年(平成24年)(950万)から2016年(平成28年)(1000万)の4年間でも5.3%(50万)と更に低下しております。

糖尿病予備軍は、2007年(平成19年)の約1320万から2012年(平成24年)の約1100万人と5年間で約220万人減少し、2012年(平成24年)の約1100万から2016年(平成28年)の約1000万と4年間で約100万人減少しております。

最近の炭水化物(糖質)摂取の減少とそれに伴う脂質摂取の増加によって糖尿病や糖尿病予備軍はむしろ減少傾向にあります。

1日の平均摂取カロリーは1970年を境に減少

また、日本人の1日の平均摂取カロリーは1970年に2300Kcalとピークを迎え、その後低下していき2016年に1865Kcalとなっております。すなわち、カロリー摂取の増加が日本人に肥満をもたらし糖尿病を増加させたわけでもありません。

戦後の日本での爆発的な糖尿病の増加は「脂質悪玉説」による

戦後の日本での爆発的な糖尿病の増加は、1970年代のアメリカでのアンセル・キーズ氏やジャン・マイヤー氏らの「脂質悪玉説」に端を発し、脂質を制限する分、糖質を多く摂ったことが原因と考えられます。

アンセル・キーズ氏は、飽和脂肪酸の摂取量と心臓病リスクとの明らかな関係が先進7か国で示されたと主張しましたが、その後対象国を広げると関連性が消失しました。疫学研究は交絡因子の影響で因果関係を証明するには十分ではありません。

一方、ジャン・マイヤー氏は企業の営利主義に乗せられ「脂質悪玉説」を主張したと言われております。

アメリカでは糖質制限により糖尿病合併症が激減

当然、アメリカでもこの「脂質悪玉説」により肥満率と糖尿病は著しく増加していきました。

しかし、アメリカでは、1993年のアメリカ糖尿病学会(ADA)で、糖尿病治療食における炭水化物と脂質の割合の固定化を撤廃しました。そして、糖質量をカウントして減らす方向へ指導する糖質管理食が広まり、糖質摂取比率40%が一般的になりました。

2008年、2011年、ADAは期限付きではありますが、肥満糖尿病患者に、糖質管理食の有効性を認めました。

そして、2013年、遂にADAは糖質制限食を厳格なものも含め「治療食」と認定しました。ちなみに、低炭水化物食とは「1日糖質量 130g以内」の食事です。

アメリカでは、この食事療法の大転換により、1990年から2010年の20年間で心筋梗塞67.8%、脳卒中52.7%、下肢切断51.4%、末期腎不全28.3%減らすことに成功しました(2014 New England Journal of Medicineに掲載)。

低カロリー、高糖質栄養指導の日本糖尿病学会

著しい糖尿病の増加があった日本でも、最近は脂質摂取の増加とそれに伴う炭水化物(糖質)摂取の減少によって糖尿病や糖尿病予備軍の増加率は減少しておりますが、相変わらず、日本糖尿病学会は、脂質の過剰摂取による高カロリー食が糖尿病を増加させたとの立場から、カロリー制限をメインに、糖質の摂取比率は60%のままで食事指導(すなわち脂質を減らす)を行っております。これでは糖尿病がよくなるわけがありません。

日本では糖尿病合併症が増加

日本では1990年から2012年の間に、人工透析者が0.21%から0.42%と倍増しています(アメリカでは同時期、末期腎不全28.3%減)。その後も、糖尿病による人工透析導入者は増え続けており、今や透析導入者の40%を占めております。

世の中に糖質が溢れてる

私たちの生きる時代はまさに飽食の時代です。飽食の主体をなすものは糖質であり、私たちを糖質中毒に貶めました。

私たちの周りを見渡せば、スナック菓子や清涼飲料水で溢れています。

ファストフード店で手に入るハンバーガーやフライドポテト、コーラのセットはまさに糖質の集合体です。某餃子店でのラーメン、チャーハン、餃子セット、某うどん店でのうどん、かき揚げ、おにぎりのランチセットも同様です。

あるスポーツドリンクのメーカーは野球をやっている子供に母親が弁当と一緒にスポーツドリンクを持たせるCMを流し、また他のスポーツドリンクのメーカーは「・・・飲まなきゃ」と掻き立てます。これを鵜呑みにした若者から大量のペットボトル症候群(清涼飲料水の大量摂取による糖尿病の発症)が出るのではないかと懸念しています。

摂取カロリーの多寡で太るとか痩せるとかが決まるわけではない

  1. 運動量が減ると消費するカロリーが減り、摂取するカロリーの方が多くなる結果、脂肪の蓄積で体重が増加し、肥満につながるとありますが、そもそもヒトを含めた生物のエネルギー代謝を内燃機関に見立てたエネルギー保存の法則で説明することはできません。

酸素で燃やして決められたとされる食べ物の持つカロリーが体内での消化・吸収や生化学的な代謝反応を受けてどうなるかなどわかるはずがありません。従って、単純に摂取カロリーの多寡で太るとか痩せるとかが決まるわけではないのです。

運動で痩せることはできますが、思ったほどの効果はありません。運動量が減っても、脂肪の蓄積に直接結びつくわけでもありません。しっかり糖質制限をすれば運動をしなくても確実に痩せることができます。

肥満の原因は糖質摂取

肥満(内臓脂肪の蓄積)の最大の原因は糖質過剰摂取であることが、逆説的ではありますが、有名なダイレクト試験(2008年 New England Journal of Medicineに掲載。カロリー無制限の糖質制限食が脂肪制限食より痩せることを証明)で明らかにされております。

栄養指導はカロリー制限ではなく糖質制限

  1. 車の所有率が高い地方が都市部よりも糖尿病が多いのは想像できます。しかし、脂肪摂取が多くなるほど糖尿病が多くなるということはありません。何度も繰り返しますが、日本糖尿病学会は、「脂質の過剰摂取による高カロリー食が糖尿病を増加させた」との呪縛から逃れられないようです。

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