経済

第92回 安倍晋三元総理の最大の功績-安保関連法

安保関連法

長きに渡っての安倍政権に対する評価は賛否両論それぞれあると思います。

日銀による異次元の量的緩和は、政府による財政政策が充分行われず、消費税も増税されたことから、消費者物価指数2%は達成できませんでしたが、たくさんの雇用を生み出しました。この点に関しては大いに評価されるべきものと思います。

私は安倍政権での最大の功績はいわゆる「安保関連法」の成立だと思います。集団的自衛権の行使を限定的だとは言え、新たに容認する法的根拠を与えたものです。

国会やメデイアでは、リアルな安全保障の議論は交わされず、憲法論や細かい法律論に終始したように思います。

本来であれば「どうしたら戦争を回避できるのか」の議論を真剣にすべきであったのに、憲法9条を唱えていれば日本の平和は守られると本当に思っていたのでしょうか。

この法案は「戦争法案」であり、もしこの法案が通れば、日本はアメリカの戦争に巻き込まれるとまで唱える方がおられましたが、一方、アメリカでは、日本と中国との戦争にアメリカが巻き込まれるとの懸念を示した方もおられました。

今年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻を見ればわかる通り、日本は憲法9条により平和が守られるといった「お花畑論」から早々に脱却しなければなりません。

海外では「どうしたら戦争をしないようにできるか」の研究は、国際政治・関係論や平和論、あるいは安全保障論としてなされていて、高橋洋一氏が「図25枚で世界基準の安全保障がスッキリわかる本 2016年上梓」で紹介しております。

以下は、高橋氏の同本を参照させていただいております。

日本の周辺には戦争に関与する頻度が高い国が多い

戦争とは1000人以上の戦死者を出した軍事衝突と定義され、第二次対戦後、2007年までに世界では「戦争」が38回起こリました。

38の戦争のうち実に4割近い15の戦争がアジア地域で発生しており、アジアは世界の中でも近年戦争が多発してきた地域であり、しかも日本の周辺には戦争に関与する頻度が高い国が多いのです。

特に、民主主義国家ではない中国、北朝鮮、ベトナムは危ない国と言えるでしょう。

また、ウクライナ侵攻を行ったロシアも、一応民主主義を標榜し、選挙を実施してはいますが、民主度が低く、日本にとって、危ない国と言えるでしょう。

ラセットとオニールの平和の5要件

国際政治・関係論の領域では、古くから、「民主的平和論」という理論があり、1795年に出版されたエマヌエル・カントの「永遠平和のために」を源流とする理論で、「民主主義」「経済的な依存関係」「国際的な組織への加入」の3つが戦争を防ぎ、平和を増進するという考えを示しました。

その後、ラセットとオニールは、1886〜1992年の1世紀以上にわたる戦争データにについて実証分析を行い、軍事力によるバランス・オブ・パワー論を重視する視点とカントの唱えた貿易などの経済的な要素を重視する視点の両方を取り入れ、戦争のリスクを減らす5要素を明らかにしました。

それが以下に示すものです。

ラセットとオニールの平和の5要件

1.有効な同盟関係を結ぶことで40%

2.相対的な軍事力が一定割合増加することで36%

3.民主主義の程度が一定割合増すことで33%

4.経済的依存関係が一定割合増すことで43%

5.国際組織への加入が一定割合増すことで24%

高橋洋一氏はプリンストン大学時代にこのラセットとオニールの理論に触れたようで、安倍内閣による「安保関連法」の成立にこの理論が強く影響を与えたことは間違いありません。

安保関連法の成立による集団的自衛権の行使容認は、同盟関係の強化に資するため戦争のリスクを最大40%程度減らす

安倍政権での「安保関連法」成立の2015年時点では、すでに日本と中国との軍事バランスが崩れており、中国有利に軍事バランスが傾いていて年々その差は開くばかりです。

日本は25年にもわたり、先進諸国の中でも唯一成長しない国になり(GDPが増えない)、防衛費もGDPの1%未満で推移してきたわけですから当然と言えるでしょう。

また防衛に対する意識も国民や政治家は希薄でした。

今でこそロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにし、中国の南シナ海、東シナ海での傍若無人な振る舞い、そして尖閣諸島への軍事的圧力と頻回な領空侵犯により、近い将来中国が台湾や尖閣諸島に侵攻することがいよいよ現実味を帯びてきて、ドイツを始めとした西側諸国の軍事費の増額に倣うように、やっと日本でも防衛費の増額の議論が起こりはじめました。

そうしないと、明らかに戦争のリスクは上がります。

賛否両論はあったものの安倍内閣が成立させた「安保関連法」は戦争を回避するリスクを40%下げたことになり、今の日本にとってプラスに働いたことは確かでしょう。

 

 

 

 

 

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