喫緊に迫る北朝鮮の脅威
11月20日、ジャーナリストの東村至恩氏は、東洋経済オンラインで以下の通り述べております。
北朝鮮「ミサイル実験」に日本が慣れきる恐ろしさ
偶発的な衝突はいつ起きるのかわからない
北朝鮮によるミサイル発射実験が止まらない。2022年になって北朝鮮が弾道ミサイルなどを発射したのは40回近く、約90発に上る。過去最も多かった2019年の25回をすでに大きく上回り、そのペースはかつてない頻度だ。
10月4日には約5年ぶりに中距離弾道ミサイルとみられるミサイルが日本列島上空を通過した。11月3日と18日には大陸間弾道ミサイル(ICBM)級とみられる弾道ミサイルを発射し、核弾頭を積んだ長距離ミサイルの射程圏内にアメリカも入っていることを誇示する形となった。
ミサイル発射そのものは、もはや日常茶飯事となりつつあり、日本の排他的経済水域(EEZ)に及ばない発射ぐらいでは驚かない状況だ。日本やアメリカを直接攻撃する可能性は低いとみられているが、いつミスが起きるか、偶発的な衝突が引き起こされるかはわからない。
更に高まる中国の脅威-日本は既に手遅れである
今年8月4日、アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問への対抗措置として、中国軍が大規模な軍事演習を行いました。
岸前防衛相は、中国が発射した弾道ミサイル5発が、日本のEEZ(排他的経済水域)に初めて落下したことを受け、「5発のミサイルは、沖縄県の波照間島の南西の海域に落下したとみられ、わが国の安全保障と国民の安全に関わる重大な問題だ」と非難しています。
尖閣諸島では中国海警局の領海侵犯は常態化しており、今や、尖閣は日本の施政権下にありません。
中国がもし、台湾に侵攻したら、日本には以下のような影響が出ます。
壊滅的な経済的ダメージは勿論ですが、日本としての国家の存亡に関わります。
1.台湾に在住する日本人の生命と財産(邦人は約2万人)
台湾でビジネスを展開する日本企業-半導体の確保が困難
2.中国の海上封鎖によるシーレーンの喪失
原油の輸送価格が一段と高騰し日本経済に大打撃
3.日本政府が対中経済制裁を発動した場合は、反日行動による店舗破壊や営業妨害、サイバー攻撃
中国でビジネスを展開する日本企業の接収や10万人を超えるとされる中国在留邦人の拘束(人質) 外務省の発表では、2021年10月1日時点で10万7715人
4.アメリカが参戦すれば沖縄の米軍基地をはじめ、日本に軍事的攻撃
政治家の危機意識のない国防論
日本は、北朝鮮、中国に加え、ロシアとも対峙していかなければなりません。
ロシアはウクライナ侵略に対しての日本の経済制裁に、将来、軍事的に報復してくるかも知れません。
まさに、3正面に対しての危機を抱えており、今この瞬間から備えなければなりません。
日本国政府は、北朝鮮のミサイル発射のたびに、遺憾砲を放つだけで全く対抗措置として体を成していません。
ロシアのウクライナへのミサイル攻撃を見ても分かる通り、飽和攻撃をされれば、いくら防空システムを駆使しても、全てのミサイルを撃ち落とすことはできません。
撃ち漏らしたものは、確実に目標に着弾し、日本は最初の攻撃を受けるだけで防衛基地や首都圏が壊滅状態に陥り、もはや、反撃の余地などありません。
日本は、専守防衛だとか必要最低限の反撃能力しか持てないなどと言われますが、現実的に見てこれらはあり得ないことがわかります。
日本の危機が現実的に迫る中、いちばん危機感がないのが、岸田首相であり、緊縮財政を未だ推し進める財務省なのです。
防衛費の増額は国債で賄えば良い
この危機にある日本の状況において、政府は、防衛費を5年後までに、GDP比2%にまで増やせば良いと考えているようです。
5年後まで、台湾危機や北朝鮮の暴発が待ってくれるのでしょうか。また、10兆円の防衛費で十分足りるというのでしょうか。甚だ疑問です。
また、防衛費の増額を増税で賄おうとしています。
日本という国が生きるか死ぬかの瀬戸際の中で、お金の心配をして、何もしないに等しい。
重症な患者さんを救う手立てがあるのに、お金がないのでやりませんと言っているに等しい。
財政破綻を心配して、国が滅んだら元も子もない。
防衛費の増額は、国債でやるべきで、GDP2%以内などと枠にはめることなく、必要な分だけ、5年後とは言わず、可及的に速やかに行うべきです。
防衛有識者会議の提言
何をもって有識者と言うのかわかりませんが、メンバーは財務省の息がかかった人ばかりです。
すなわち、緊縮財政派。言い換えれば、財政破綻の心配をして国が滅んでも良いと思っている、今喫緊に迫る危機を危機として感じていない人たちです。
複数の政府・与党関係者によると、提言を受けて与党税調では法人税や所得税の増税の可能性が検討される方向とのこと。
自民党にも宮澤税調会長をはじめ、増税派がたくさんおります。
民間委員の間では「防衛力強化の受益が広く国民全体に及ぶことを踏まえ、それに要する費用は、国民全体で広く負担する形を目指すべき」、「財源については、幅広く国民に負担してもらうため、個人所得税の引き上げも視野に入れる必要」などの意見が出たとのこと。消費税導入の時に聞いたような台詞です。
「防衛力強化の受益が広く国民全体に及ぶことを踏まえ、それに要する費用は、国民全体で広く負担する形を目指すべき」と言われると、素直な日本国民の大多数は納得するかもしれませんが、騙されてはいけません。
「防衛力強化の受益が広く国民全体に及ぶこと」であるからこそ、政府が責任を持ってやらなければなりません。すなわち、防衛強化は国債で賄うと言うことです。
防衛力強化の負担を広く国民全体に求めると言うことは、国民の生命と財産を守るべき政府が、その責任を放棄することに他なりません。
税金は財源ではない
税金は、政府の支出に必要な財源を確保するのに不可欠なものだと考えられてきました。
国の財政を企業や個人に置き換えればそのように考えるのも当然です。
しかし、現代貨幣理論(MMT)によれば、これがそもそもの間違いなのです。
自国通貨を発行できる政府は、原理的にはいくらでも国債を発行して、財政支出ができるからです。そのような政府が、どうして税金によって財源を確保する必要があるのでしょうか?
実は、税金は、財源確保の手段ではありません。税金は、物価調整の手段であり、インフレを抑えたければ、投資や消費にかかる税を重くし、デフレから脱却したければ、投資減税や消費減税を行うという具合です。
実際に、政府の予算執行の実務もそうなっております。政府が予算執行するとき、政府は、まず政府短期証券を発行して日銀に買わせて、財源を賄っています。そして、徴税は事後的な現象です。実際、確定申告を行うのは会計年度が終わったときです(予算執行の翌年の2月から3月の間)。 つまり、実務上も、集めた税金を元手に政府が財政支出しているわけではないことがわかります。
これは、論理的に考えても当たり前のことです。なぜなら、政府が、国民から税を徴収するためには、国民が事前に通貨を保有していなければならないからです。
自国通貨を発行できる政府は、原理的にはいくらでも国債を発行して、財政支出ができるわけですから、税収と関係なく、必要な分を財政支出として執行できます。
つまり、防衛費も必要な分だけ積み増しできるということです。
第78回のブログでも述べましたが、島倉 原氏が作られた以下の図をご覧になってください。
2015年の時点で、債務残高は名目金額で明治初期(1872年)の3740万倍になり、実質でも546倍になりました。
また、1970年から2020年までに債務残高は名目金額で166倍になリました。
しかし、未だに日本では国債金利の上昇やハイパーインフレは起こっておりません。
日本の国債の償還は、他の先進諸国と同じように新たな国債の発行による借り換えで行っており、これを未来永劫続ければ良いのです。
また、国債金利も、日銀が国債の約50%を保有していることや日銀が政府の子会社であるという事実から、日本政府には全く負担になっておりません。
財政破綻などあり得ないのです。
年金保険料の支払いを65歳まで引き上げるとか、後期高齢者の介護保険料の負担を増やすとか、自動車のEV化により、ガソリン税の減収の埋め合わせとして自動車走行税を課すとか
このコストプッシュインフレ下で、岸田政権はどこまで国民を苦しめるのか、本当に許し難い!
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