60年償還ルールの撤廃の動きを阻止しようとする財務省とメデイア
東京新聞のオンライン記事(1月20日)
この記事は、自民党の萩生田政調会長が主導する国債償還ルールの見直し議論(防衛費増額の財源を議論する特命委員会)に対する財務省からの牽制と思われます。
防衛費増額の財源として国債の償還期間を延長し、自民党内で毎年の返済額を減らして財源に充てる案が浮上している。政府の借金である国債の「60年償還ルール」を見直そうというのだ。この仕組みと、見直した場合の影響をまとめました。(押川恵理子)
また、同日財務省に操られている鈴木財務省も以下のようにコメントしています。
[東京 20日 ロイター] – 鈴木俊一財務相は20日、政権与党内で浮上している国債償還ルール見直しについて、仮に見直した場合でも全体の国債発行額は変わらない、との認識を示した。同日午前の閣議後会見で語った。鈴木財務相は、与党での議論について「結論を、予断をもって申し上げるのは今の段階ではできない」としたが、一般論として「60年償還ルールを見直した場合、一般会計から国債整理基金特別会計への債務償還費の繰り入れが減少することになり、その分一般会計が発行する赤字国債が減る」と言及。国債整理基金特別会計が発行する借換債がその分増えることになり、60年償還ルールを見直すことで「国全体としての国債発行額が変わることはない」と述べた。
国債を60年かけて償還するのは日本独自の制度だと述べています。
何が独自なのか?
国債の償還について、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアは、財政黒字になれば償還するとしてますが、実際のところ、財政黒字の国はなく、国債は償還されず借り換えによって積み上がっていくのが現状です。日本以外の国では、債務残高が積み上がっても償還はしていないと言うことです。
ところが、日本は、財政赤字でも償還するとして、一般会計からの繰入れにより60年かけて公債(建設、特例)を償還(60年償還ルール)しています。
これがまさに日本独特の制度であり、「借金しながら減債基金への繰入のためにさらに借金するのはいかがなものか」と常識ある国から言われるわけです。
明治学院大学の熊倉氏は、借換債を増やし、一般会計からの繰り入れを止めたり額を減らしたりしても、一般会計からの返済費は少なくなりますが、返済総額が減るわけではありません。借換債を余計に発行することになり、将来世代の負担はさらに増えます。と述べていますが、他国ではそれがスタンダードなのです。
60年償還ルールを廃止すると国債の信任が失われると財務省は言いますが、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアの信任が失われた話など聞いたことがありません。
実は、日本は、過去に1.6%の債務償還費を計上しなかったこと(1982~89年、1993~95年と11回)があり、この時、国債の信任が失墜したなどと言う話も聞いたことがありません。
また、60年償還ルールを廃止することで、財政支出の余地は拡大し、今問題になっている防衛費の増額や政策の是非は別として少子化対策に振り向けることができます。
それらは、将来世代の負担をさらに増やすのではなく、減らすことにつながるのです。
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