糖質制限とケトジェネシス

第43回 日本糖尿病学会 糖尿病食事療法改定(2019年9月)? 

2019年9月に日本糖尿病学会において、糖尿病食事療法の改定が行われましたので、以下にまとめてみます。

1.標準体重から目標体重へ

総死亡が最も低いBMIは年齢によって異なり、一定の幅があることを考慮し、以下の式から算出する。

65歳未満:身長(m)2乗×22

65歳から74歳:身長(m)2乗×22〜25

75歳以上:身長(m)2乗×22〜25

75歳以上の後期高齢者では現体重に基づき、フレイル、基本的ADL低下、併発症、体組成、身長の短縮、摂食状況や代謝状態の評価を踏まえ、適宜判断する。

2.身体活動量は身体活動レベルと病態によるエネルギー係数(Kcal/Kg)に変更

 ①軽い労作(大部分が座位の静的活動):25〜30

②普通の労作(座位中心だが通勤、家事、軽い運動を含む):30〜35

③重い労作(力仕事、活発な運動習慣がある):35〜

総エネルギー摂取量の目安

総エネルギー摂取量(Kcal/日)=目標体重×エネルギー係数(kcal/kg)

 3.栄養素摂取比率について、明確なエビデンスがないことから、目標値がステートメントから削除されたというが、「炭水化物を50〜60%エネルギー、タンパク質を20%エネルギー以下、残りを脂質とする」ことを「一定の目安にして良い」としている。炭水化物摂取量に関しては日本人を含むリアルワールドデータの最新のメタアナリシスで、その摂取が多すぎると総死亡リスクが有意に増加し、低すぎると総死亡、心血管死、がん死のリスクが有意に増加する関連性が示されており、観察研究に基づくと、中庸(総摂取エネルギーの50〜60%)が妥当。

第29回のブログでは、国立健康・栄養研究所の栄養素等摂取量の調査により、近年の日本人の炭水化物摂取量は減少し、脂質摂取量は増加していて、その上で糖尿病患者と予備軍は減少傾向にあることを示しました。

また、第33回のブログではインパクト・ファクター(論文がどれほど引用されたか)ランキング3位である「LANCET」に載ったPURE STUDYをご紹介しました。

その論文の結論は

1.炭水化物を多く摂ると死亡率を高め、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸を含む脂肪を多く摂ると死亡率と脳卒中を低下させた。 (炭水化物摂取比率77.2%と最も高いグループの総死亡率は7.2%だったのに対し、46.4%と最も低いグループは総死亡率が4.1%と大きな差があり、また脂肪の摂取比率が10.6%と最も低いグループの総死亡率が6.7%だったのに対し、35.3%と最も高いグループの総死亡率は4.1%とこれも大きな差がついていた)

2.脂肪の摂取は心臓血管病の発症に影響がなかった。

というものです。

2006年の「NEW ENGLAND JORNAL of MEDICINE」に掲載された論文でも「冠動脈疾患の発症に脂質摂取の多寡は関わりなく、糖質を多く摂ると冠動脈疾患のリスクが中等度増加した。」とされております。

NIPPON DATA 80では30歳以上の日本人9200人(女性5160人、男性4040人)を1980年から2009年までの29年間追跡調査した結果、糖質の摂取量が多くなるほど心臓・血管死、総死亡リスクが上がることがわかりました。

これらのエビデンスがあるにもかかわらず、日本糖尿病学会は相変わらず、糖質制限食を公に糖尿病治療食と認めずガラパゴス化を歩んでいます。

また、前年の2018年6月に日本糖尿病学会に所属する管理栄養士らを対象にアンケート調査を行なったところ食品交換法をあまり使用しない、全く使用しないと回答した人が約40%に上り、その理由として、食事療法の対象になる患者のうち、調理する習慣がない、調理ができなくなった、中食、外食、コンビニ利用者が約90%を占めるなど、現代の患者背景を考えると、調理を基盤とした食品交換表を使用するのは困難である、とのこと。

結局、栄養指導をする管理栄養士さんたちも、食品交換表を使って栄養指導することが現実的ではないと認識しているようです。

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