糖質制限とケトジェネシス

第39回 老化と病気

老化とは

「老化とは歳を重ねることです」。でも、これは、必ずしも正しくはありません。例えば、70歳でも、見かけが若く、溌剌としていて、生活習慣病やがんを患うことなく社会の第一線で活躍されている方がおられる一方で、そうでない方もおられます。

ですから、年齢だけで「老化」を定義できません。

私たちは、はるか遠くの生物進化の過程でミトコンドリアを手に入れ、効率よくエネルギーを産生し、生きるようになりました。

私たちは、この世に誕生した直後から、エネルギーを生み出すために、ブドウ糖と酸素を必要とします。

しかし、ブドウ糖と酸素が結びつくこの過程で、ブドウ糖が原因の「糖化」と酸素が原因の「酸化」という悪い作用が起きます。

まさに、この時から私たちの体に「老化」が始まります。

糖化とは

「糖化」とは私たちの体を構成するたんぱく質や脂質がブドウ糖と結合することで、それぞれが劣化する反応のことです。

たんぱく質や脂質がブドウ糖と結びつくと、最終的にAGEs(Advanced Glycation End Products:終末糖化産物)という、たちの悪い物質ができます。

実は、このAGEsこそが、老化や病気を引き起こす犯人なのです。

過度な糖質の摂取により、この「糖化」が進むことは容易に想像できるでしょう。

例えば、皮膚のコラーゲンはタンパク質であり、AGEsの蓄積により変性し、しわやしみを作ります。

また、AGEsが血管に蓄積し変性を起こせば動脈硬化を引き起こします。

AGEsが体内に増えると、あらゆるところでマクロファージが関わる炎症が起こり病気に繋がります。

「糖化」は加熱によってブドウ糖がたんぱく質や脂質と結びつく(メイラード反応)ことから「焦げる」と表現されます。

糖尿病のコントロールの指標として用いられるHbA1cは、赤血球の中にあるたんぱく質のヘモグロビンとブドウ糖が結びついた糖化物質を測定するものでAGEsになる途中物質です。

糖化による全身の変化

では、糖化が進むと全身にどのような変化が起こるでしょうか?

以下、まとめてみました。

AGEsが

血管にたまると→動脈硬化(脳卒中、心筋梗塞)

骨にたまると→骨粗鬆症

水晶体にたまると→白内障(クリスタリンにAGEs)

皮膚にたまると→しわ、しみ

腎臓(糸球体)にたまると→腎不全(透析)

脳にたまると→認知症(老人班にAGEs)

酸化とは

ひとがミトコンドリアでエネルギー産生をする時、ブドウ糖と酸素が必要だと先に述べましたが、この時活性酸素が発生し酸化反応が起きます。これが「酸化」です。酸化反応はまさに「錆びる」ことです。酸化反応を起こす活性酸素は人体に有害ですから、これを無害化するための抗酸化酵素(SOD、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ)が、私たちの体に備わっています。ケトン体の1種であるβヒドロキシ酪酸は、これらの抗酸化酵素を活性化すると言われております。

酸化ストレス

過度な運動や精神的なストレス、そして食後の高血糖、血糖値スパイク、高インスリン血症が活性酸素を増やすと言われております。

一方で、年齢を重ねることで抗酸化酵素が減り、酸化反応が抗酸化反応を上回った状態を酸化ストレスと呼びます。

酸化による全身の変化

酸化によっても、糖化と同じように、糖尿病の合併症や動脈硬化に基づく脳卒中や心筋梗塞、認知症をもたらします。

酸化によるがんの発症

 さらに、酸化は細胞分裂の際、ミスコピーを起こし、がんを発症させます。特に生活習慣病型と言われる、肺がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、胆嚢がん、腎臓がん、食道がん、子宮体がんです。

がん細胞のエネルギー源はブドウ糖ですから、がんの発症後も糖質過剰摂取が続くとがん細胞は喜びます。

また、糖質過剰摂取により大量に分泌されたインスリンは、がん細胞の成長因子として働きます。

 

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